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発売から7年目のDfをレポートします。

 2013年11月、当時のフラッグシップ機D4と同等のセンサーを積んだアナログ操作性を重視したNikonDfの華々しい登場に心弾ませました。2014年春に購入し、とことん使い倒しました。当時でも1600万画素センサーは画素数的には少し控え目。にもかかわらず、高感度耐性と必要十分な画質を両立していて新鮮なスペックでした。

 ダイヤルが並ぶ外観はカメラ側の設定が文字通り手に取るようにわかり実用的です。最新のNマウントAFレンズを使用できますが、マニュアルフォーカスレンズと親和性がある機能的なデザインです。

 と、ここまではどこにでもあるような7年間語り継がれてきたレビュー。ネット上でも「買いか?」「今さら買った理由」等々のざわめきが散見されます。

 機材棚で大型レンズリアキャップとしての余生を歩み出そうとしているDfをD850とLeicaM10を使用する筆者が、改めて使ってみたらどう感じるのか?2013年の「最新鋭」傑作機を2020年の今、レビューします。

 1625万画素、ISO100-12800、5.5コマ/秒、765gというのが基本スペック。記憶媒体はSDカード、シングルスロットです。これから紹介する写真は全てDfで撮ったものです。使用したレンズはAi Nikkor 50mm F1.4s。RAWで撮影し、調整せずにJPGで書き出しました。掲載のためダウンサイズしています。

ISO400 - 1/2000s - F2.8

 天気は曇り、逆光気味、彼岸花の背景にアスファルトがどうしても入ってしまうシチュエーションでした。

 「浅めの被写界深度で撮ろうかな」とバッグからDfを取り出します。電源を入れずにISO感度、シャッタースピード、絞り値を確認できます。そして電源オン。ファインダーを覗き、構図、ピント位置、露出計の数値を確認しながらシャッタースピード絞り値を調整しながら撮影しました。

 手にとった瞬時にカメラの設定を確認できるあたりは非常に便利。カメラのダイアルは、レトロに見えて実は理に適ったインターフェースであると感じます。

ISO200 - 1/500s - F2.8

 画面左からの斜光。この日は太陽が雲からが出たり隠れたりの繰り返し。陽が強くなったタイミングで撮りました。暗部から明部までの色乗りが自然です。アクティブDライティングは標準。最も明るい部分も白トビする直前で粘ってくれいています。また暗部の色彩も嫌みなく拾ってくれていて好感が持てます。

 「大体この辺にピントを合わせたい」といった感覚で思い通りの位置にピントを楽に合わせられるので、ファインダー性能は悪くはありません。怪しい時はフォーカスエイドを目安にしても良いと思います。

 複雑な形状のヒガンバナや毬栗を間近で撮るようなケースでは、点で合わせるオートフォーカスよりも狙った通りの結果が得やすいと思います。

 どなたもマニュアルフォーカスでピント合わせるシチュエーションはあると思いますが、ファインダー性能は高級機とそれ以外では顕著に差が出ると思います。Dfに関しては中々優秀な部類に入ると思います。

 フルサイズらしいボケを生かした画像の次はパンフォーカス気味に茂みを撮影しました。順光。天気は曇りでした。

ISO400 - 1/250s - F8

 フルサイズのデジタルカメラ2400万画素が主流となった今、特にモニタなどで等倍で「観察」する人は、全体の画像の大きさと等倍した箇所の大きさ比べてみて「やはり」といった感じの印象を持たれると思います。

 中央部分を切り抜いていみました。ほぼ等倍時の画像です。幹の辺りにピントを合わせたので手前の花々の結像は甘いですが、葉や幹の光沢感がしっかりと表現できています。A4プリントぐらいまでなら十分な解像感が得られると思いますし、同じセンサーを積んだD4でA2サイズに出力したことがありますが、顔を近づけて凝視するような鑑賞をしなければほとんど問題ないレベルだと個人的には思います。

ISO200 - 1/125s - F8

  群馬県吾妻郡の八ッ場ダム。この日は西の空は晴れ。東の空は曇り。画面右(西)から光がさしている状態です。元画像では中央の灰色のフェンスの側面に偽色が発生していました。下は拡大したほぼ等倍で切り抜いた画像です。

 綺麗な縞模様が出ています笑

 ローパスフィルター有で控えめな画素数のセンサーですが、偽色の発生を抑えられなかったようです。センサーも画像処理エンジンの古さを感じてしまう部分です。画像編集ソフトで加工したり、ピント位置を少し外すなど撮影時のちょっとした工夫でなんとかなるレベルかもしれません。

ISO200 - 1/250s - f5.6

 夕暮れのダム湖。西陽を背に撮影しました。微妙な空や山、湖面の色合いを見えたように正確に記録しています。

 手前の斜面の林や湖面の波の立体感に妙を感じます。ギスギスせず、それでいて解像度は十分に確保する1600万画素のセンサーはとても優秀だと感じます。

 ISO6400で撮影してみました。

 

ISO6400 - 1/60s - f5.6

 東京タワーの先端部分をほぼ等倍で切り抜きます。

 下はNikonDf+Ai-s Nikkor 50mm F1.4の好敵手だと勝手に決め付けているLeica M10+Summicron 50mm f2で同じ条件で撮影した画像です。比べるとDfの苦手なところ得意なところがわかってきます。

 2017年1月に発売されたLeicaM10にズミクロン50mmF2を装着し同じアングルから撮影しました。高画素の利から明部の表現はM10に軍配が上がりますが、暗部の表現はDfの方が優れています。レンズの性能差かもしれませんが。

 実は、LeicaM10のISO感度を上げた時の画質の悪さがずーっと気に入らなかったのですが、今回の撮りくらべでその理由が暗部の表現性の悪さではないのかとなんとなく考えるようになりました。

 画像処理エンジンの古さ、高感度撮影時の表現力にやや古さを感じるものの、デジタル一眼レフカメラとしての性能自体は悪くなく、MFレンズとの相性や操作性、データサイズの扱いやすさなど今でも最新機より優れいている点はあります。

 1990年代前半ごろまでのフィルムカメラのようなマニュアルな操作感、レトロ感は使っていて楽しいカメラです。

 マニュアルフォーカスレンズとの相性がデザイン的には抜群ですが、NikonD4譲りの1600万画素のフルサイズセンサーが描き出す自然な精細感、ダイナミックレンジが広い画像のフィルムライクな特徴上、線が太く、芯があるけど柔らかな印象の写りが楽しめるフィルム全盛時代のレンズを楽しむには最適のカメラだと思います。カリカリに解像するレンズとカメラの組み合わせには無い質感が得られるような気がします。

 発売から7年。新品で購入するのはそろそろ最後のチャンスとなってくるのでしょうか。後継機の噂は一切聞きませんが意外と便利なアナログな操作に加え、画素数、画質で考えると非常にハイパフォーマンスなカメラです。

 

 「お気に入りの画角のMFニッコールをずーっと付けたままで、日常の記憶用に所有」をお勧めしたいです。